近年、企業間取引(BtoB)におけるECサイトの需要が高まり、多くの企業が業務のデジタル化・効率化を図る中で、「どのECカートを選ぶか」が事業成功の大きなカギとなっています。BtoB ECでは、法人ごとの契約条件、見積書の発行、掛け払い対応など、BtoCとは異なる機能が求められます。こうした特有の要件に対応できるECカートを選ぶことが、スムーズな業務運用と売上拡大に直結します。
本記事では、BtoB ECにおいて特に注目される3つのカート、「Bカート」「Shopify Plus」「EC-CUBE」の特徴や導入メリットをわかりやすく解説します。
BtoB ECには、企業取引に特化した多様な機能が求められます。例えば、法人ごとに異なる価格表示や契約条件への対応、見積書発行や請求書払い(掛け払い)といった商習慣への柔軟な対応が必要です。また、セミクローズドサイトとして会員登録制・承認制の構築、取引履歴や納品スケジュールの管理、担当者ごとのアカウント設定など、業務フロー全体をEC上で完結できる仕組みが重要です。
このような機能をスムーズに実装するには、BtoB ECに特化したカートの選定が不可欠です。自社の業務内容や顧客との取引スタイルに合ったカートを選ぶことで、運用の手間を減らし、よりスムーズな事業展開が可能になります。
「Bカート」は、BtoB専用に設計されたクラウド型ECカートで、業界でも高いシェアを誇るサービスです。初期費用を抑えて短期間で導入できる点が魅力で、ITに詳しくない企業でも扱いやすいUIが支持されています。
主な特徴としては、取引先ごとの価格表示設定、見積書や請求書発行、掛け払いへの対応など、BtoBならではの取引に対応する機能があらかじめ標準で備わっています。また、既存の販売管理システムや基幹システムとの連携も可能で、受発注業務の自動化・効率化を実現します。
導入企業は製造業、卸売業、資材業など多岐にわたり、従来FAXや電話で対応していた受注をオンライン化することで、業務効率の大幅な改善を実現しています。
「Shopify Plus」は、世界中で利用されているShopifyの最上位プランで、大規模なBtoC・BtoB両方に対応できる拡張性が特長です。日本でも多くの企業が、卸売向けECサイトの構築にShopify Plusを導入しています。
Shopify Plusでは、BtoB向けに専用の「Shopify B2B」機能を活用することで、取引先ごとの価格設定や注文フローのカスタマイズが可能になります。パスワードで保護された専用ログインページの作成や、定期的な注文への対応、外部ERP・CRMとの連携も柔軟に行えます。
さらに、Shopifyはインフラ面の信頼性も高く、99.99%の稼働率や高いセキュリティ対策により、安定した運用が可能です。国内外に顧客を持つ企業や、今後海外展開を見据える企業にとっては、非常に有力な選択肢となります。
オープンソース型ECプラットフォームとして国内で広く知られる「EC-CUBE」は、柔軟なカスタマイズ性を武器に、BtoB向けにも多く採用されています。特に、「EC-CUBE Enterprise」ではBtoBに必要な各種機能を標準・オプションで提供しており、大手企業から中堅企業まで多くの導入実績があります。
取引先管理、見積書発行、請求書払いといった基本機能に加えて、会員制サイト構築、セミクローズド対応、社内承認フローへの対応、商流に応じたカートや注文フローの設計など、企業ごとの要望に合わせたフルカスタマイズが可能です。
また、EC-CUBEは国内開発であることから、細かな商習慣への対応や、日本語でのサポート体制が整っている点も安心材料です。業種特化型のECや、独自フローをもつBtoBサイトを構築したい企業にとって、非常に有効な選択肢といえるでしょう。
BtoB ECに求められるのは、「価格や契約条件の柔軟な管理」「業務フローとの連携」「セキュアで安定した運用環境」といった、BtoCにはない要素への対応力です。
自社の業務内容や取引形態に合ったECカートを選ぶことで、BtoB ECの立ち上げ・運用がスムーズに進み、長期的な成長にもつながります。